木星の五年後がつくられるまで

[グルーブにたどり着くまでにわれわれは何をしたのか、またこれからの行先]

私は『木星の五年後』(木星の新衛生発見)の稽古場についていた訳だが、この作品がつくられるまでの道程と行先について書いてみたいと思う。まずは具体的な「これまで」を挙げることを行いたい。

 

◯昔の台本(木星の新衛生発見)はじめての読み合わせ

4月8日、稽古1回目。この台本でいくかどうかはわかりませんが、との指示のもと読み合わせ。丸く円になり、座って読むことからはじめる。

 

◯新しい台本のはじめての読み合わせ

5月9日、稽古2回目。「木星の新衛生」はボツにしますとのことで、

新しくできた台本を初めて皆で読み合わせる。丸く円になり、座って読むことからはじめる。https://astronautsboard.com/mokusei/2018/05/10/0510_01/

 

◯セリフのディテールをしっかりとの指示

6月4日、稽古3回目。

ここで言うディテールとは人物関係等のディテールとは異質の物を言う。「双子用のベビーカー」というセリフが発話された際に「双子用のベビーカー」が想像可能になることが犬飼さんの言うディテールである。https://astronautsboard.com/mokusei/2018/06/12/0604_04/

 

◯場所の設定

6月8日、稽古4回目。初めて演出される場所の設定が決まり、会社の倉庫で休憩もできるような場所ということになった。https://astronautsboard.com/mokusei/2018/06/15/0608_04/

 

◯関係性を明白にする作業

6月10日、稽古5回目。萩原、梶田、鏑木の関係性についての演出が付け足される。萩原は二人にとっての上司で、上っ面な冷たさがある。一方で梶田鏑木は仲の良い感じを出したい。

 

◯引き続き、関係性への指示

合同稽古は6月14日にあったが、『木星の五年後』は稽古が空いてしまったこともあり、次の日の6月15日の通し前に稽古が組まれる。関係性に関しての指示(萩原はもっと冷たい感じで、鏑木と梶田は仲の良い感じを出して)が続く。

 

◯グルーブ感を高めたいとの指示

6月16日プレハブで稽古。渡辺さんが、いきいきしはじめる。グルーブ感を高めたいとのことでセリフを早く回してほしいとの指示。俳優的にはかなり早く回しているということで、俳優と犬飼さんとの間で「早く」というコンテクストに齟齬が生じる。

 

◯グルーブ感を高めたいとの指示

6月18日、小屋入り初日。犬飼さんの「早く」とは「抜く」ということだったとの指示あり。特定のセリフに対しての言っている感をなくしてほしいと言う意味。

 

◯ゲネを終えての演出部MT

6月19日、ゲネ終わり、演出部で話し合い。もっとできる感があったということから。次の場に移り変わる時の流れを作ることと、照明がわかりやすすぎるのではないかと提案。3、4、5場の流れが気になるとの話題が出る。

 

◯初日を迎える

6月20日、各場の稽古で最後のつめをする。何度も、何度も、通すことを繰り返す。

 

◯本番のこれから

グルーブ感は毎回違う。それは演劇が生物である所以だろう

1996年生まれ。高知県出身。 大学入学とともに演劇活動を開始。明治大学文芸メディア専攻在学中。現在、無隣館三期演出部に所属。2017年カンパニーメンバーを持たない形で、演劇団体ムニを立ち上げ、主宰。出演作に、高山明演出『ワーグナープロジェクト』。ムニでは劇作演出を行う。