[日誌]6月2日『木星のおおよその大きさ』合同稽古1

合同稽古の日は、集合時刻より若干遅れて稽古場に到着した。僕が担当している『木星の逆行』は出演する俳優が2人だったこともあり、稽古場に入った瞬間、人の多さに圧倒される。カメラの準備をしながら周りを窺い、顔と名前を一致させていく。

まず、各場の繋ぎに重きを置きながら同時に立ち位置を確認する。
全8場から成る『木星のおおよその大きさ』は、ジュピターという会社を舞台にしている。ただ、一口に会社が舞台と言っても、喫煙所、会議室、エレベーターの前やトイレなど様々な場所で話は展開していく。
しかし、こまばアゴラ劇場の舞台は歌舞伎座の舞台のように回転したりしないので、セットを組むことは物理的にできない。場所から場所への移動は抽象的に行われ、光景は想像力で補完される。
観る人の想像力にシーンを委ねるとき、空間の可能性は大きく広がるが、立ち位置や視線を含む身振りなどで想像力をうまく広げられなければその可能性を閉ざすことになる。そのため、立ち位置や移動の仕方はかなり重要だろう。ことに、細かな立ち位置の摺り合わせは建築現場の足場を組んでいくような感じがした。とはいえ、各場の繋ぎでは空間と空間 / 時間と時間が交差する場合がいくつかあり、そういった時空の境界を明確にしすぎると、オムニバス形式で緩やかに繋がっているこの作品の面白さが削がれてしまうので難しい。

1時間ほどの休憩を挟んで通しに入った。
これまで、稽古の様子を『木星の逆行』一つしか観たことがなかったため、他の場を観るのはかなり新鮮だった。特に『木星の逆行』に出演する2人が出る他の場では、その役の多面性を垣間見られたようで興味深い。
というか、稽古は各場ごとに別々に行われているわけだけれど、いくつかの場に重複して出演する俳優はそれぞれの場における自身の役の人物像を繋げられているのだろうか。少なくとも、今回の通し稽古でいろいろなものが繋がり始めたものも幾分かあるだろうな、とは思う。(ということを考えていたら、6/9の『木星の逆行』の稽古でも役の同一性についての話が出たので日誌を早く公開できてなかったことを後悔しました、これはダジャレではありません)

最後に犬飼さんからいくつか話があり、ずらっと並ぶ俳優部と演出部の面々を眺めながら話を聴いていた。

その日稽古場として使った建物は、出入り口のあたりでセンサーが反応してコンビニの入店音みたいな音が鳴る。何人もが出入り口付近を通り、その音が重なるのをぼんやり聞きながら稽古場を後にした。

早稲田大学 文学部 演劇・映像コース演劇系在学中。