[日誌]4月26日『木星の逆行』3 発話のズレ

立ち稽古から始まる。渡邊さんと前原さんは台本を外している。立ち稽古を数回行いながら、座っての練習も行う。今日の稽古はズレをいかに生じさせるかに重きが置かれたように思うので2つのポイントに分けて記録した。

■ダイアローグにおける発話のズレ

二人芝居である『木星の逆行』の稽古を見ていると発話で目指す方向がクリアに見えてきた。私は普段三人芝居の新衛星の稽古についている。発話のズレからのグルーブ感について今日の稽古場で考えたことを書く。

例えば、以下のようなセリフがある。

A  ああ、

B  ◯◯◯◯

A  そうなんですね。

Aのセリフ、「ああ、そうなんですね」は、「ああ、」と「そうなんですね。」部分に分けた書き方がされ、Bのセリフが間に挿入される。

この部分での演出指示は、Aは「ああ」と「そうなんですね」がBの会話をまたぎながらも、つながっているように発話せよ、というものだった。要するに「そうなんですね」がつめぎみに発話される。AはBと一見会話しているように戯曲上では見えるが、演出指示により、Aにはどこか所在なさげな印象が含まれるようになった。

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上の図は発話の状態を現しているもの。(20180408撮影)

ABCと発話が切り替わっていくのだが、ABCがそれぞれの発話の意識を保つことにより、3人の中の誰が発話してもいい「なんでもできる状態」を目指している。細かい会話の無数のパンチが繰り出される戯曲の上で、上記の発話状態が目指される。ダイアローグにおける噛み合わなさや、会話をしているがどこかひとりごとのようにも思える可笑しみを、演出は浮かび上がらせる。

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他にも、

B  〇〇◯◯

B  〇〇◯

ここでの演出指示は、セリフがレイヤーしていくように、だった。この場合では、改行の効果により、BのセリフにBのセリフがつけたされる発話が生まれる。

≠ B 〇〇◯◯〇〇◯

の書き方ではレイヤーするように、との指示を出すことは難しいのではないかともわたしは思ってしまった。間はその後のセリフをどう聞かせたいかに関係するが、この場合では意図的に休符し、その休符から前部へと重なってゆく発話を目指している。

 

■発話の方向

第三者(客)への発話から、相手役への発話へ、セリフをきっかけに、発話の方向を変える指示が出た。それは、モノローグ⇔ダイアローグというようなものではなく、ダイアローグからダイアローグを通しての発話の方向移動。

すこしだけ、感情と発話の方向が関係しているのかもしれないとの思いあり。「ズレ」は「軽さ」へといかにして結びついていくのか。

前原さんのお腹が鳴って休憩中にみんなでビスコを食べた。帰り道は涼しいくらいで肌寒いとは思わなかった。

 

1996年生まれ。高知県出身。 大学入学とともに演劇活動を開始。明治大学文芸メディア専攻在学中。現在、無隣館三期演出部に所属。2017年カンパニーメンバーを持たない形で、演劇団体ムニを立ち上げ、主宰。出演作に、高山明演出『ワーグナープロジェクト』。ムニでは劇作演出を行う。